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XMLをテーマに半年の講義 [ゼミ・教育]

「テキスト処理論」という題名の半期の講義で、今年度はXMLをテーマに話をした。
最初は馴染みのあるところで、HTMLから始め、さらにXHTMLへ移行し、
さらに、構造とデザインの分離を説明して、デザインを出来る限りCSSで記述することを説いた。
CSSの基本も説明した。
CSSはもともとデザインのためのものであったが、HTML(XHTML)をより構造化するために、
スタイルシートのクラス定義を導入することで、実はHTML(XHTML)のタグを換骨奪胎し、
構造とデザインを分離した上で関係づけることができる、ということも説明した。

その後、自由に構造を定義できるものとして、またXHTMLの上位言語としてXMLを導入、
簡単な例をもとに、XMLの書き方、そのツリー構造表記、さらにそのDTDの例、などを
具体的にemail.xmlという簡単なXML文書を例に説明した。

ここで、XMLは全くデザインに関わらない純粋な構造記述の言語となっているので、
それを表示するためにふたたびCSSが必要となる。
さらにCSSでは、単に要素にデザインを対応させるだけであるが、
XSLTを用いることで、より自由なデザインをできることを示した。

もちろん、XSLT自身はデザインのためのものではなく、むしろ、これもそれ自身はデザインを処理することができず、プログラミング言語として、XMLの構造を別の形式に変換する変換フィルタとしての役割を果たす。

最後には、XMLの様々な応用形態の一例として、MacOSXのシステム・プロパティの保存やDocBook、RSSなどの紹介をした。

このような授業であったが、今日が最後だったので、授業についてのアンケートをとり、感想を書かせた。二年生、三年生それぞれの半数弱の人がとっていると思われるが、「難しい、もっと丁寧に説明してほしい、板書が早くて書き取れない、もっと興味の持てる話をしてほしい、どこが大事かわからない、説明不足だ、私語がうるさくて聞き取れない、テキストがないと復習が出来ないのでテキストに沿って説明して欲しい」などの感想が半数を占めた。「おもしろかった、よくわかった、これまで体系的でなかった知識が体系的になった」などの肯定的な感想もあったが、全体の四分の一程度であろうか。

これが何を意味しているのかを判断するのは難しい。

確かに常に説明の時間が足りず、急ぎ足になったこともあったが、実際にはそれぞれの話題の本の入り口だけを、かなり簡略化しながら話してきた。実際の書籍は、大抵もっと難しいところまで、詳しく説明してるので、そもそも本を買わせても、その最初の部分しか使えない。

内容に関しては、HTMLを本を見ながらでも書ける人を前提にしたが、そこから説明するとなると、逆にHTMLが分かっている人には易しすぎて勉強にならない。

大学の授業は様々なテーマで開講されているので、そもそも興味のあるものを選択できるようになっている。興味がないのに受講して、興味を持てるようにしてほしい、というのは、本末転倒のように思う。もちろん、講義自体の数が少なかったり、語学などの必修の授業と重なっているために、他に取れないために仕方なく受講している学生もいることだろう。

学生には、こういうテキスト処理に向いている学生と、ビジュアルな方面に関心がある学生とがいる。数的には後者の方が多い。テキスト処理論はもともと、プログラムによるテキスト処理の基本を説明する講義であり、興味が持てない人が多いのは仕方のないことである。

ただ、説明と板書の量とタイミングに関しては、もう少し改善しないといけないだろう。演習の授業でも、プロジェクタで説明をしながら一緒に作業をさせると、実際の作業をしても、それをメモする時間がない、ないしはメモをしていると、前で説明している作業が先に進んでしまう、という指摘がこれまでにもあった。

この点のタイミングを計るのは非常に難しい。ゆっくりやっているつもりでも、学生にしたら、始めてのことなので、理解するのに時間がかかり、さらにそれを書き留めるにも時間がかかる。後で復習するテキストがないと、十分理解しないまま先に進むことになる。しかし、コンピュータの理解は積み重ねが必要なので、徐々に分からないところが増え、後に行けば行くほど、手が出なくなっていく。

改善策は?

丁寧な分かりやすい、段階的なテキストが必要だろう。卒論のいくつかでは、そういう初心者向けの教材を作ることをテーマにして取り組んでもらっている。まだそのまま使えるものはできないが、将来的には実用になるものが出てくることを期待したい。


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