SSブログ

文字列とは [プログラム]

 バーチャル・ロボットを動かすプログラミング言語によって描かれる世界は、文字列と数値というオブジェクトからなっている、ということを前に書いた。

 しかし「文字列」という表現は、プログラムを作る者には、当たり前だが、一般の人には馴染みのない言葉だろう。(それに対して数値の方は、すぐ分かると思う。)そこで、今回は文字列について少し説明しよう。

 ロボットをプログラムするための言語は、基本的には機械に語りかけるための言語である。もちろん、それは我々も理解している必要はあるが、なにより機械が理解できるような単純な文法でなければならない。だからプログラミング言語(プログラムするための言語)は、非常に限られた品詞と限られた構文と、数少ない語彙で成り立っている。

 しかし、そのプログラミング言語で書かれるのは、内容のない、作業手順だけである。内容の方は人間が外から「データ」というロボットにインプットする必要がある。そのデータとは、これはロボットに語りかけるものではなく、人間にとって意味のあるデータである。ロボットに作業をしてもらうのは、人間にとって役に立つ仕事であるから、そのデータは人間をターゲットにしているのでなければならない。

 そこで、プログラミング言語で書かれる手順書の中には、ロボットに命じるための言葉と、人間にとって意味のある言葉が混在することになる。その人間にとって意味のある言葉を、ロボットのための言葉から区別するために、その人間のための言葉を「 」という引用符の中に入れておかなければならない。

 これを文字列と言う。

 これはちょうど、小説における地の文と会話文の違いである。会話文は引用符「」に囲まれている。これは作中の人物同士が会話する言葉である。一方、地の文は、小説の読者に向けて書かれた言葉である。その言葉の向けられる対象が違っている。そのため、それを区別するために会話文は「」に入れるのである。

 プログラムでも、ロボットに何かの処理をさせるための言葉は、そのまま書かれるが、ロボットにとっては意味はなく、人間にとって意味のある言葉は「」に入れて、それをひとまとめにしておく。ロボットは、その内容には一切関知せず、「」があれば、それを文字列という「物」として扱う。

 ロボットにとっては、その内容はどうでもよく、それが文字列という物であることが分かれば、それで作業は続けられる。それを操作するために、文字列に名前を付け、その名前で、内容とは関係なしに文字列をひとまとまりのものとして扱うのである。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。