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公開・配布できる卒業制作を [ゼミ・教育]

 今年の四年生の卒業制作には、公開を目指しているものがいくつかある。大谷大学では、必ず論文を書かなくてはならず、何らかの作品を制作しただけでは卒業できない。しかし、僕のところでは、原則として何らかの作品を制作し、卒論自体は、その制作に関する考察をすることにしている。

 作るものは、ソフトウェアーやWebサイト、オンラインデータベース、初心者向け教材、eラーニング教材などだが、ゼミの基本コンセプト「人の役に立つものを作る」に基づいてユーザーインターフェースを重視し、使いやすくするにはどうしたらいいかを考えさせるようにしている。

 使っている技術は、PHPやPython、MySQL、XSLT、C言語などのプログラミング言語が主である。実は、これらの技術のどれか、ないしはいくつかを、より深く勉強するために卒業制作をやってもらっているのでもある。そのため、必ずしも高度なものを作らなくても、基本的な、典型的なものを作ることで、それぞれの技量に合わせて技術的な知識を身に付けられればいいと考えている。

 しかし、中には、単なる勉強のためではなく、実用的に使えるレベルのものを目指しているものもある。一般に公開して、配布できるところまでもっていけるかもしれない。

 まず、チベット学会て作成している研究文献目録のオンラインデータベースである。これは、昨年度の卒業制作をベースに、それを実際に使えるところまで改良し、完成させることを考えている。現在、チベット学会では、全部のデータを一つのページに収めてHTMLで公開しているが、文献数が増えてくれば、当然データベース化する方がいい。昨年度の卒業制作では、一応、入力、編集、検索、削除ができるところまでこぎ着けたが、それで時間切れとなった。それを参考にして、その基本機能までは割合簡単に辿り着くことができた。そこでその時点での問題点を改善するために、学会の事務局と相談しながら、必要な機能を追加して、秋には公開したいと思う。

 また、SQLのオンライン学習教材を作っている学生は、Web上でSQLコマンドを入力させ、それでデータベースを作らせながら、SQLの勉強を初歩から順にできるようなツールを作っている。フォームでSQLの式自体を送信し、それをPHPでデータベースに送り、その結果をユーザーに返す。その基本的な機能が動くことが確認できたので、次は、教材作りに入っている。どういう順序で説明や問題を出し、学習者の入力に対してどういう反応をするように作っていくかを考えている。エラー処理や、そもそもの入力が不正であることをどのように感知して対処するかが今後の課題になる。

 前にこのブログでも取り上げた、文系の論文・レポート用のXMLを設計し、それをTeXやHTMLのソースに変換するXSLTを開発している学生もいる。これも昨年度の、TeXからHTMLへの変換ツールを作った卒論を参考にしつつ、その反省の上に別のアプローチを試みているものである。

 オンラインのテキスト編集ツールでは、特に文系の古典的なテキストや翻訳などをオンラインで入力できるようにし、共同作業ができるようにすることを目指している。XMLを用いて、表示とデータを分離し、XSLTで変換するようにする。しかし、一方で検索などのためにはPHPでのスクリプト処理も必要となる。まだ現在はXSLTで変換する部分を作成しているが、その部分は意外に簡単にできそうだ。PHPの部分は、どういう機能を付け加えるかを考えて実装する。これもシンプルだが、研究者には便利なツールなので、完成すれば、実際に人の役に立つものになるだろう。

 今、僕も考えている初心者向け日本語スクリプト言語を、僕は単にPythonへのトランスレータとして作ろうとしてるいるが、これをコンパイラとして、字句解析や構文解析、コード生成(ただし、機械語までいけるかどうかは分からない。)まで一通り動くものを作る、というテーマの学生もいる。言語の仕様は、僕の考えているwythonと同じでいいかもしれない。本当は言語仕様も考えるとおもしろいのだが、コンパイラの勉強もあるので、時間的に難しい。むしろ、日本語をソースコードにしたコンパイラが果たして実現できるのかどうかが問題だ。いざとなれば、PythonやRubyなどで日本語の部分を前処理してからコンパイラに渡せばいいだろう。

 あと、オンラインでWebサイトを作成・編集するためのツール、これはこのブログでも何度か仕様の提案を述べてきた。どちらかというと、こういうものがあったら便利だと僕が思うものを作ってもらっていると言えるかもしれない。これは現状でも、少なくとも僕が使う分には十分に実用的に使えるものになってきている。ただ、ユーザー支援という部分、つまり面倒な処理を肩代わりしてくれる部分をどのくらい機能追加していくか、また競合するツール、ZopeとかXoopsとかSmarty、あるいはWikiからどのような機能を採用し、またどのように差別化していくか、が今後のテーマになる。

 まだ、みんな本格的に始めてから2ヶ月程度であり、今後、どこまで進めていけるか、楽しみだ。他の卒業制作も、まだ緒に就いたばかりなので、進め方によっては十分公開できるところまで持って行ける、あるいは来年度、学内で使用するのに耐えるものになる可能性がある。がんばってほしいと思う。


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