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パネル「チベット仏教研究の可能性を探る」の聞き所 [チベット]

 印度学仏教学会も1週間後に迫ってきました。僕は研究発表とパネルの司会とがあるので、準備で忙しくしています。

 さて、パネルの方ですが、聞き所というか、実際、どういう意図で企画したのかということについて、非公式に書いておこうと思います。

 僕の話は、まあ、総括と言いますか、問題提起のつもりでしたが、他の先生方の話の内容との兼ね合いで、別の視点を提供しようと思います。それは「教育」あるいは「後継者の育成」といったようなことです。つまり、これからチベット仏教を研究する若い学生や研究者に、チベット仏教研究の難しさと、ではどうしたらいいかを提案するつもりです。

 次の根本先生と吉水先生は、顕教とくにゲルク派の中観や論理学研究の専門家です。根本先生は、2年間インドに留学して、ゴマン寺で直接ゲシェ・ハランパに教えを受けてきた研究者です。大学ではもちろん、インド仏教論理学の文献学的な教育も受けています。実際にチベット人に教えてもらった経験から、ツォンカパ研究や論理学研究についての考えを披瀝してもらおうと思います。

 吉水先生は、僕と同世代で長くチベット研究に従事されてきました。最初、仏教論理学研究のセンターでもあるウィーン大学のシュタインケルナー教授のもとに留学し、そこで博士論文も出して学位を取得されました。その後も、ウィーン大学のみならず世界各国のチベット仏教研究者との交流を通じて、文献学的な研究を続けておられます。従来は失われたとも思われていたゲルク派の前身カダム派の古い全集が大量に出版されました。それの紹介と、それを使った研究の方向性についてお話いただけると思います。

 次の安田先生と平岡先生の専門は密教です。安田先生は日本では珍しいニンマ派の研究をされています。まだ若い研究者ですが、日本のチベット学を牽引してきた京都大学の御牧先生のもとで基礎を学び、そのあとドイツのミュンヘン大学に留学されました。ニンマ派の研究についての文献学的な研究をされているわけですが、ご存じのようにニンマ派ないしは密教の研究は、文献の読解だけでは分からないこともあります。その辺のディレンマについて、ご自身の研究スタンスも含めてお話いただければと思います。

 最後の平岡先生は、チベット密教総本山のギュメ寺に2年留学し、そこの傑出した学僧ガワン・ロサン先生(顕教のゲシェであるだけでなく、密教のゲシェでもあり、ギュメ寺の僧院長も勤められた)にずっと師事して教えを受けています。行も実際に行っていると同時に、チベットの最高の知性の指導のもと秘密集会タントラのゲルク派の解釈について研鑽を積んでいます。密教研究のあり方を、実体験を踏まえて提言していただけるものと思います。ビデオも見せていただけるそうです。
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安田章紀

福田先生

ご無沙汰しております。
非常に些細な点で申し訳ないのですが、私の留学先は「スイスのローザンヌ大学」ではなく、「ドイツのミュンヘン大学」です。ご多忙でいらっしゃると思いますので、もしお時間があればで結構ですのでご訂正くださればありがたいです。
by 安田章紀 (2009-09-03 16:48) 

yfukuda

安田さん

申し訳ありませんでした。早速訂正しました。当日はよろしくお願いいたします。
by yfukuda (2009-09-03 17:13) 

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