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文系がKnoppixを使う理由 [プログラム]

僕のゼミは、文学部に属している。つまり、ばりばりの文系である。普通、文系がコンピュータ技術を勉強するとしたら、大抵はできあいのソフトウェアーの使い方に習熟するか、あるいは、それを使って何か、たとえば、Webページを作ったり、画像を作ったり、表をつくったり、データベースを作ったりする。こういう使い方をする場合には、当然Knoppixが必要となることはない。

 それでは、文系がKnoppixを使う用途というのはないのだろうか。

 僕のゼミでは、単にできあいのソフトを使うのではなく、何かこれまでにない、人の役に立つツールを作るのだから、何らかのプログラミングが必要となり、また、特に現在においてツールを作るとき、インターネット上に構築するのが、楽でもあり、利用者にとっても便利である。そういうものを作るための環境を手軽に作るとすれば、Unixを使うのが一番であり、その中でも、インストールの必要のない(あるいは既にCD-ROMにインストール済みである)Knoppixを使うのがいいということになる。以前はVineLinuxを使っていたが、これはインストールだけで何回かの授業を潰してしまった。インストールもできればいいが、より本質的にUnixの勉強の方が大事なので、それは無駄な時間だった。

 しかし、僕のゼミは文系ではあるが、必ずしも一般的ではない。そこで、文系を文系の研究者に限って言えば、やはりUnixは有効の研究の道具になりうる。本当はMacOSXの方が楽だし、安定しているし、機能も豊富だ。純粋にUnixの環境があると同時に、GUIの部分は、使いやすいMacOSの伝統を継承している。コンピュータを利用した文系の研究を行うには最適だと言っていい。

 そうではあるが、現在の大学のコンピュータ環境というのは、ほぼWindows一辺倒である。Macは申し訳程度に数台置いてあるだけで、数百台のWindowsマシーン一色に染められている。その中でUnixを使うとすれば、どこでもCD-ROM一枚で、あとはUSBメモリでもあれば快適に使えるKnoppixは、学生がWindowsの代替として使うには適しているのだ。

 テキスト処理を中心として、Emacsと検索ツールとTeXとスクリプト言語、これらがあれば研究には十分な環境が構築できる。というか、僕の研究環境はこういうもので成り立っている。(ただし、Knoppixではなく、MacOSXだが。)テキストファイルを検索し、エディタで文章を書き、また検索や置換を行い、印刷はTeXで行う。TeXのソースファイルからHTMLとPDFを作って、FTPでWebサーバーにアップロードする。

 文系の研究にとって、TeXは論文やテキストを作るのに欠かせないツールだ。従来のワープロが、場当たり的なレイアウトで見た目だけの文書を作っていたのに対し、TeXでは組織的に文章を作ることができ、特殊な文字の入力やレイアウトの変更にも簡単に対応できるので、レイアウトや入力文字に関するストレスを感じることなく、内容に集中することが出来る。

 そうやって作ったテキストの様々な変換処理のためには、ほとんど使い捨てのスクリプトを使う。僕(および、ゼミの学生)は、Pythonを使っているが、PerlでもRubyでも同じである。これらもKnoppixには最新の一つ前のバージョンがインストール済みである。

 3、4年生の2年間を使うならば、必要にして十分な範囲でKnoppixを身に付けることができる。たぶん、最初の半年のトレーニングで十分だろう。その後は、余計なストレスのない環境で研究をすることができる。全員がKnoppixを使うべきだと言っているわけではない。が、特にTeXを使うならば、全部の環境をCD-ROM一枚で持ち歩けるKnoppixを使うのが一番適しているのではないだろうか。


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