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人の役に立つものを作る [プログラム]

 昨日の文系における情報処理の補足。

 僕のゼミの基本コンセプトは「人の役に立つツールを作る」というものだ。ツールを作るときのプラットホームをUnixにしているが、それはもちろん本質的なものではない。ほぼ同じ環境をWindows上でも実現できるから。Unixは単に技術の勉強のためのテーマにすぎない。

 何が人の役に立つのか、あるいはどうしたら人の役に立つのか、これを考えるのは結構難しい。それなりの経験や観察力、想像力を必要とする。

 「人の役に立つもの」を考えるには、人が困っていることを見つけることから始める必要がある。困っていること、不便だと思っていること、こうなったらいいな、と思っていること。しかもそれが、自分がそう思っているのではなく、他の人が思っているのを発見する、気付くことだ。それだけ、いろいろな人の様子に目を配る必要が出てくる。

 これは社会に出ても必要な態度だと思う。資本主義社会は確かに「人の役に立つもの」よりも「儲かるもの」を作る、という方向に向かいがちである。どうしたら儲けられるか、売り上げを増やせるか、を真っ先に考える。おそらく、成長しない会社はそうだろう。しかし、役に立たないものを作れば、人はそれを買わなくなり、結局は売り上げは落ちる。人々が欲しいと思うものは、それがあることでとても便利になるようなものだ。

 だが、僕が言いたいのは、もっと困っている人のことだ。儲かるようなものならば、誰かが作ってくれる。しかし、儲からないようなものはどうなるのか。たとえ、それが必要で、なくて困っていても、それを必要とするのが10人とか20人しかいなかったら、あるいは100人でもいい。それを誰が作ってくれるだろうか。

 世の中は経済原理によって成り立っている。だから、儲からないものには、あるいは相当の人が必要としないものは、たいてい見向きもされない。そういったものに取り組むのが、僕の言う「人の役に立つツールを作る」ということなのだ。

 そういう小数の人たちは、実は自分たちの必要ものを作ってもらえるとは思っていない。半ば諦めている。だから、それが必要だという声も上げない。それを発掘し、彼らに変わって何が必要なのかを考え、場合によっては、それを必要としている人の考えている以上のものを実現できたら、それは素晴らしいことだろう。

 逆に言うと、誰も作ってくれないからこそ、自分たちが作らなければ、ということだ。

 こういう目や視点を養っておくと、社会はそういうふうには動いていなくても、きっとその人の人格のスケールアップにつながると思う。


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