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オープン・キャンパス [ゼミ・教育]

 僕のいる大谷大学でも、ご多分にもれず、夏にオープン・キャンパスを開催する。僕も8月1日に相談会の席に座り、また、人文情報学科の模擬授業をする。

 昨年度も同様の模擬授業を担当したが、そもそも、この分かりづらい学科の内容を「人文」と「情報」の架け橋、という触れ込みで紹介するものだった。文系と理系の仲介役ということだ。文系のいいところと足りないところ、理系のいいところと足りないところを挙げ、それぞれの足りないところを補うために、その両方に理解のある仲介役が必要であり、そういうことができる人を育てるのが「人文+情報」学科の目指すところだ、という内容だった。

 この視点というか、そういう目標は、少なくとも僕の中では変わっていないし、それなりに分かりやすい説明だと思う。

 が、今年も同じことでは芸がない。今年は、僕は少し引っ込んで、学生にやってもらおうと思っている。題して、「人文情報学科の学生はこんなものを作っています。」ないしは「学生の制作品を実演・紹介します。」ということでお願いしたが、はたして採用してもらっているのだろうか。授業内容は、

 

 人文情報学科の中心となる授業「人文情報学演習」で、2年生、3年生、4年生がどのような作品を作っているかを、実際に学生に来てもらって実演・紹介します。  2年生の演習では、6、7名のグループに分かれて、パワーポイントによるプレゼンテーションを作ります。今回は「宮沢賢治と銀河鉄道の夜」という題の作品を実演します。  3年生・4年生の演習は8つのゼミに分かれます。私のゼミの3年生は、現在「人文情報学科公式Webサイト作成プロジェクト」に取り組んでいます。全体で50ページ以上のサイトを作りました。  4年生は卒論のための制作品を紹介します。私のゼミのテーマは「人の役に立つデジタル・ツールを作る」です。プログラミングを駆使したWebアプリケーションを作成している学生に、今作りつつある作品を紹介してもらいます。

といった授業説明を事務局の方に送っておいた。

さて、今日東急線に乗ったら、座っていて見える範囲の車両広告に、三つもの大学のオープンキャンパスの宣伝広告が貼ってあった。曰く「学生のサポート体制を強化」「改革」「どんな学部が体験してみよう」などなど、全部は覚えていないが、様々な言葉で受験生を誘うコピーが踊っていた。しかし、それらは、踊っていた、というほど、前向きなものではなく、むしろ大学の悲鳴のように聞こえた。大学は、学生を選抜するところではなく、手を変え品をかえ、学生の歓心を買おうとすることに汲々としているのが、痛々しかった。

 今、学生を集められる大学は、(ブランド校以外は、)就職率と資格と学生サポートの三つをアップさせること、と、企業としての大学は考えている。本当はどれも本質的なことでないのは、これまでの僕のブログでも言ってきたことだ。しかし、受験生は、少しでも安定した安全パイを選択しようとして、こういうことを売りにしている大学に足を向けてしまうだろう。大学で自分は何を学びたいか、それこそが結局はその学生の人格と知力をアップさせる源であるはずなのだが、大学生でさえ、そのことが分かっている人は少ないのに、受験生にそれを考えろ、というのは酷な話なのだろう。このブログだって、受験生はほとんど読んでいないだろうし。

 僕の模擬授業が、はたして功を奏するかどうかは怪しいが、大学で何を学んでいるか、を学生自身に語ってもらう(先生の側の謳い文句ではなく)ことが少しでも受験生に伝わって、志願してくれる人が増えることを、ちょっとは期待しておこう。


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