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PowerPointプレゼンの学生の評価 [ゼミ・教育]

 大学2年生のクラスでグループに分かれてPowerPointのプレゼンを作り、相互評価を行って優勝チームを決めた。[参照]

  1. 出家するまでの釈尊の生涯
  2. 宮沢賢治の夢
  3. 仏教と巡礼
  4. 仏像のなぜなに辞典
  5. 空海の生涯と伝説

 このうち、3班を除く4つの班に評価が分散した。前にも書いたように、今年のクラスでは(協力できたかどうかは別にして、)プレゼンの出来がよく、優劣をつけがたいものがあったので、投票の結果が分散したのは、ある意味、当然のことであった。

 このうち、1班と4班は、みんなが協力して円滑に作成していたので、ほぼ出来上がってリハーサルをしたときに、多少のアドバイスをしただけで、後は学生自身の発想で作ったものであった。そのため、軽い乗りでの愉快なせりふや効果などがあり、また特に1班は、演劇部の学生がしゃべりを担当したため、せりふが棒読みではなく、それもかなり受ける要素であった。

 一方、2班の宮沢賢治と5班の空海は、ほとんど一人ないし二人で作成していったため、人手不足ということもあり、作成過程からいろいろと僕がアドバイスをしながら作っていった。その結果、全体に若い人特有の感性よりは、真面目で重厚な作りになった。

 特に2班の宮沢賢治は、テーマの選び方もあって、内容的には極めて水準の高い作品となった。宮沢賢治が仏教、特に日蓮宗や法華経に深い信仰を持っていたことはよく知られている。その賢治の宗教的な精神の中心を、銀河鉄道の夜で重要なキーワードになっている「ほんとうの幸」という概念にあると考え、しかもそれが、「自分が本当に幸せになること」ではなく、「自分を犠牲にしても、他の全ての人が本当の幸せを得るために努力すること」と捉え、それが仏教の菩薩という理想像の賢治による理解であることを示した。そして、それを『銀河鉄道の夜』でのジョバンニの心の成長の中に辿っていき、さらには、晩年の「雨ニモマケズ」の詩の中に最終的な境地を見出す、という構成になっている。背景も絵本などを参考にしながら幻想的で美しい画像を使い、非常にきれいに仕上がっていた。

 一方、5班の空海は、生涯を一応辿りはするものの、ほとんどの場面は、空海の偉大さや、超人的な才能などを象徴する伝説的なエピソードを順に紹介する内容となっている。それが単に個々のエピソードを紹介するのではなく、空海の生涯を辿るような形で配置されているので、極めて自然に空海の全体像が分かるように作られていた。素材は主に空海の絵伝から画像をスキャンし、そこに加工を加えるという形で、統一感もあった。大体が空海の伝説は、話だけでもおもしろい、というか、おかしいものが多いので、その意味で人工的ではない、自然なエンターテイメント的要素も含まれていた。もちろん、遺言にも等しい「虚空尽き、衆生尽き、涅槃尽きなば、我が願いも尽きん」という詩や、七歳の空海が「私は将来、仏の道で多くの人を救いたいと考えています。この願が叶うならこの命を救ってください。叶わないなら命を捨て、この身を仏に供養します。」と言って崖から飛び降りたら、天女がそれを救ってくれたという伝説、恵果とのやり取りなどに、菩薩精神を示す言葉が見られ、それは宮沢賢治の願いと共鳴し合うものがあった。

 で、投票の結果だが、5班が1位で、一票差で1班と2班が並んだ。4班も数票差であった。これには実は若干、驚きを禁じ得なかった。僕の目から見ると、2班が色々な点で完成度の高さを誇っていた。しかし、学生の評価は必ずしもそれが理解されたようではなかったのである。どうしてなのだろうか。

 結果的には、同点2位が2班でたので、僕が最後の一票を投じることにし、2班と5班に投票して、結果的にこれらのチームが全体大会に出場することになった。これはある意味では作為的な選択であるということになるかもしれない。

 では、実際に全体大会に行ったときに、優勝できるだろうか、と考えると、極めて不安な気持ちになる。それは昨年度の苦い経験があるためである。その話は、長くなるので、また項を改めて書くことにしよう。


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