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就活の効用 [ゼミ・教育]

 この春休み、大学の新四年生は、毎日就活に追われ、いろいろな会社を回り、面接や試験を受けていることと思う。

 これが社会に出る前の最初の関門だ。これまでの学校社会は、保護された、出来る限り公平になるように配慮された社会だった。その中にも階層はあったが、それは理不尽に押しつけられたものではなく、勉強の出来具合や、努力の程度によって出来たものであって、それはまさに学校が公平であることによって出来た階層だった。

 しかし、一般社会はそれとは異なった原理によって成り立っている。公平であることよりも、企業にとっての経済効果が優先される。それだけではなく、色々な年代の、色々な考え方の、色々な性格の人がいて、一律の原理で割り切ることができないところなのだ。

 保護された学校社会から出て、混沌とした社会に始めて触れて、その間のギャップに苦しむ学生も多いのではないだろうか。しかも混沌と言ったって、それは全体として多様な世界だと言っているのであって、学生が個々に接触する人は、混沌ではなく、特定の偏向を持った特殊な人にすぎない。それにどう対処していいか分からず、学生は苦しむことになる。そこで、そのような多様性に出来る限り早く馴染むことが、就活の成功につながることになるのだ。

 そこで最初に触れる社会の原理で、社会が全て動いているわけではないし、またその原理が本当に正しいものであるわけでもない。何が正しいのかさえ、決まらないだろう。だから馴染むと言っても、それを受け入れ、同化するということを意味してはいない。問題点を見つける目も失ってはならない。ただ、少なくとも、そういうものに負けずに対処できるように(始めて見たときには驚いたとしても、それから逃げて、引きこもってはいけない。)考え方を切り替えることだ。

 つまり、価値観の多様性を前に、自分を客観的に見、相手を客観的に見ることができるようになることだ。就活は、そのための、この上もなくいいトレーニングの場と考えればよい。

 これまでの学校社会にも色々な人はいたし、バイトでも色々な人に出会ってきたことだろう。しかし、ピンで社会に出て行くのはこれが始めてであり、そのときにこそ、始めて社会の本当の姿に出会うのだ。それに飲み込まれることなく、臆することなく、客観的に対処するよう努めよう。


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Feronia

また、お邪魔します。私の就活はとてもひどかったです。でも時はバブルでした。何とかなりました。(苦笑)翻って今の学生の人たちは大変だと思います。人間ですから就活での失敗もあるかもしれませんが、プラス思考に考え、社会や会社を見て物事に流されるのではなく、自分のもつ基準や方向性やビジョンはやはりきっちりと持って対処することは重要だと思います。
by Feronia (2005-03-25 00:37) 

yfukuda

>kaikaiさん
コメントありがとうございます。
 大学生はこれが本格的に社会に接する最初ですから、そううまくは行かないと思うのです。そういう落ち込んでいる人に、これはトレーニングのいい機会なんだから、落ち込む必要はない、と言ってあげたいと思って書きました。
by yfukuda (2005-03-25 10:12) 

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